卵子凍結のデメリット(高齢出産のリスクなど)

加齢とともに卵子の質は低下するといわれています。

30代を目前にしてもまだ結婚の予定がない、出産の予定がないという方などの選択肢の1つにあがるのが卵子凍結です。

卵子凍結や高齢出産にはデメリットやリスクも少なからず存在します。

本記事では、卵子凍結のデメリットや、高齢出産の副作用について詳しく解説します。

高齢出産 リスク
もくじ

卵子凍結とは

卵子凍結とは、卵子を凍結保存することをいいます。卵子の質は20代をピークとして徐々に質が低下していきます。

卵子の質が低下すると不妊や流産などのリスクを伴うため、30代後半で妊娠を希望した場合には必ずしも妊娠できるとは限りません。

また、卵子の基となる卵母細胞も年齢とともに減少し、37歳を超えると急速に減少します。

卵母細胞が減ると、卵子が作られなくなるため、排卵期を迎えても排卵されないということも考えられます。

したがって、35歳以降の妊娠や出産を考える方には卵子凍結が選択される傾向にあるのです。

また、卵子凍結には「医学的卵子凍結」と「社会的卵子凍結」があります。

医学的卵子凍結は、悪性腫瘍などの病気により、治療をすると妊孕性が低下すると考えられた場合に行う卵子凍結です。

一方、社会的卵子凍結とは加齢にともなう妊娠率の低下を避けることを目的としており、将来的に子どもが欲しいけれど現時点ではその予定がないという場合において卵子を凍結するものです。

医療機関によってはどちらかしか適応ではないところ、あるいは両方に適応しているところがあります。

参考

Q24.加齢に伴う卵子の質の低下はどのような影響があるのですか?一般社団法人日本生殖医学会

妊孕性温存法-日本がん・生殖医学会

卵子凍結のメリット・デメリット

卵子凍結にはメリットとデメリットがあります。

ここでは、卵子凍結におけるメリットとデメリットについて解説します。

メリット

  • 自分の好きなタイミングで出産できる

年齢が上がるとともに卵子の質は低下してしまうので、子どもが欲しいという方は若いうちからの妊活が必要といえます。

しかし、キャリアアップやパートナー探しの関係から、若いうちに出産を考えない方も増えてきています。

キャリアを優先すれば卵子の質が低下し、子どもを欲しいと思ったタイミングで、自分自身の卵子で受精することは難しくなってしまいます。

しかし、卵子凍結を活用すれば年齢は30代後半となっていても卵子の質は凍結したタイミングのものなので、高齢でも妊娠できる可能性が高くなり、流産するリスクを抑えられるのです。

  1. 出産率が高くなる

若い時期に卵子凍結ができれば、より質の高い卵子を凍結しておくことができます。質のよい卵子を凍結できれば、妊娠率は極めて高くなります。

以下では提供卵子といって質が高い分かり卵子を提供されたケースと、ご自身の卵子で出産をしたケースの割合です。

年齢別の出産率自己卵子提供卵子
平均約20-35%約50-60%
35歳以下約40-45%約50-60%
36-40歳約30-35%約50-60%
40歳以上約10-20% 約50-60%
生殖補助医療によるいのちの未来-国立研究開発法人科学技術振興機構

若い卵子ではほぼ半分の方が出産できているのに対して、30代後半において自分の卵子で出産に至ったケースは1~3割です。

このことからも卵子凍結で質の良い卵子を残しておくことの重要性が伺えます。

デメリット

卵子凍結は良いことばかりではありません。ここからは、卵子凍結をすることによるデメリットをご紹介します。

  1. 費用が高い

卵子凍結のうえで最もデメリットとなるのが費用面です。

卵子凍結をするには、医療機関への診察料や通院のための交通費はもちろんのこと、卵子を排卵させるために使用するホルモン剤を含めた薬剤の費用、検査費用、卵子の採取費用に加えて、凍結卵子を保管するための費用がかかります。

凍結卵子の保管費用については年間で更新されます。

これらの費用はすべて保険適用外となり、実費負担です。そのため、十分に費用が払えるほどの経済的な基盤は必要といえるでしょう。

現在、東京都においては社会的卵子凍結への補助金が一部の方を限定して支給されていますが、他の都道府県では、社会的卵子凍結への補助金の支給は行われていません。

さらに、卵子凍結をしておいたうえで、パートナーを見つけ、卵子を体内に戻すためには体外受精をしなければなりません。

そのため、体外受精のための費用がさらに掛かりますので、じゅうぶんに費用を用意する必要があるでしょう。

  1. 高齢出産になる場合、母体や子供にリスクが生じる

凍結した卵子での妊娠や出産が恒例のタイミングとなった場合、母体や子供にさまざまなリスクが生じる可能性があります。

まず、母体の影響を見てみると、高齢妊娠の方は妊娠高血圧や妊娠糖尿病などの妊娠による病気への罹患リスクが高まります。

これらの治療は、お腹の子どもへも影響を及ぼすと考えられています。ほかにも前置胎盤や、胎盤早期剥離など妊娠合併症のリスクも高まり、こちらもお腹の子どもへの影響があるものです。

さらに、高齢出産でなおかつ初産の場合には、子宮口の開きが悪く、産道も固くなっているので難産になる可能性があります。

また、体力が落ちていて産後の復帰も悪くなると考えられているのです。

次に子どもへのリスクです。

子どもは、妊娠に伴う病気に母親が罹患することで成長を妨げられてしまい、低出生児となるリスクが高まると考えられています。

また、お腹の中で無事に成長していたとしても母体の体調不良により早産を引き起こしたり、産道が硬くてなかなか産道を通過できなかった結果、障害をもったりする可能性も0ではありません。

母子双方に、リスクがあるのが高齢出産なのです。

参考 分娩時年齢の高年齢化現状と問題点-公益社団法人日本産婦人科医会

  1. 卵子を採取するにあたり心身ともに負担がかかる

卵子凍結をするためには卵子を採取しなければなりません。卵子を採取する前には、ホルモン剤を投与して卵胞の数を増やします。このホルモン剤の影響によって嘔気や頭痛などの副作用を引き起こすケースも多々あります。

卵子の採取は専用の針を卵巣に直接刺して採取するため痛みも伴います。

このように、卵子の採取をするにあたり、女性は身体的に負担がかかってしまうのです。

また、卵子の採取は、卵胞の育ち具合を見ながら判断するため、自分のスケジュールにあわせられません。

大切な用事があるのに通院しなければならない、ビジネスチャンスのときに採卵で急きょ医療機関に行かなければならなくなるということもあり、精神的にも身体的にも苦痛となるかもしれません。

参考

Q12.体外受精とはどんな治療ですか?-一般社団法人日本生殖医学会

卵子凍結と高齢出産のリスク

卵子を凍結した後に高齢出産を検討しているという場合、高齢出産にもさまざまなリスクが伴います。

ここでは、高齢出産のリスクについてくわしくお伝えします。

卵子凍結と高齢出産のリスクについて

高齢出産とは

高齢出産とは、妊娠適齢期を過ぎた後の出産を指し、日本では「35歳以上の初産婦」を高齢出産としています。

世界界産科婦人科連合(FIGO)では「初産では35歳以上、経産では40歳以上」を高齢出産としています。

高齢出産の割合を見てみると、1980年には全体の1.9%程度しか高齢出産の女性はいませんでした。しかし、年々高齢出産の割合は増加し、2010年には20%程度、2019年には約30%程度といわれており、高齢出産の方は増えているのが実情です。

参考

高齢妊娠・出産とは日本産科婦人科学会秋田地方部会

高齢出産のリスク

加齢に伴い、卵子の質が低下してくることや子宮環境が悪くなることもあり、そもそも妊娠ができる可能性は極めて低いといわれています。1回の妊娠における流産の頻度は平均的には15%程度といわれていますが、40歳以上では約半数が流産するとされています。

流産には、受精卵が着床した初期に、成長をせずに流産になってしまうこともありますが、もう1つ高齢出産における流産の原因が不育症です。

不育症とは、お腹の中で子供の成長が止まることで、不育症も高齢出産の方に多い傾向にあるようです。

また、妊娠したとしても高齢女性の卵子は染色体異常になる可能性が高いため、先天性異常による先天性疾患(ダウン症など)のリスクが高まります。

さらに、高齢出産は分娩所要時間が長いことにくわえ、分娩時出血量が多いこともわかっています。

出産時の多量出血で母子ともに危険にさらされる可能性もありますし、分娩時間が長すぎると、胎児の呼吸状態や心拍に影響を与える可能性が高まります。

このことから、高齢出産は母子ともに多大な影響を与えてしまうと考えられているのです。

参考

Q24.加齢に伴う卵子の質の低下はどのような影響があるのですか?一般社団法人日本生殖医学会

分娩時年齢の高年齢化現状と問題点-公益社団法人日本産婦人科医会

卵子凍結の活用

ここまでご紹介してきた高齢出産におけるリスクはある程度、卵子凍結をして卵子の質を低下させないことで回避できます。

卵子凍結をしていれば、不育症や染色体異常になることは防げますし、妊娠率も一気に上昇します。それに伴い流産の確率も下げられるので、確実に出産をしたいと考える方にとっては、卵子凍結をして卵子の問題にアプローチできれば、問題が解決できるといえるのです。

卵子凍結には諸々の費用は掛かります。しかし、高齢出産を決めた際にもしも不妊症と診断された場合には、卵子凍結と同様の治療費用が掛かります。

むしろ、高齢でありなかなか乱暴が発育しないリスクも鑑みると、卵子凍結よりもさらに費用がかさむかもしれません

全体を通して考えると、いますぐに妊娠を希望しないという30代以下の女性は質の高い卵子を保存でき、将来の妊孕性を高められる卵子凍結を活用しない手はないといえるでしょう。

実際の高齢出産

高齢出産を検討しているという方は、高齢出産が不安、高齢出産がどのようなものかがわからないという方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、実際に高齢出産を経験された方のブログを3つピックアップしてご紹介します。

高齢出産を検討している方はぜひチェックしてみてください。

  • 高齢出産後、子どもに障害が判明したケースを赤裸々に書くブログ

https://ameblo.jp/soundsgood4139m/

39歳で第一子を出産をされていますが、羊水検査でダウン症が発覚した方のブログです。

高齢出産の実情が分かるブログです。

  • 高齢出産で年子を出産された方のブログ

https://ameblo.jp/aubykdd1234/

45歳、46歳で年子を出産された方のブログです。

高齢出産だけど兄弟を検討しているという方には、出産から育児の経過が分かりやすいです。

  • 卵子凍結のリアルタイムが見られるブログ

https://ameblo.jp/kurori1985/entry-12736338791.html

フジテレビ系恋愛番組あいのりに2008年に出演されていた「クロ」さんは36歳の時に卵子凍結を検討し、2023年6月より卵子凍結の準備を進めています。

36歳ですでに42歳と同様の卵子しか残っていなかったことに衝撃を受けられたクロさん。

これから、卵子凍結を検討しているという方は、卵子凍結のリアルタイムの流れを見られるでしょう。

まとめ

卵子凍結にはメリットだけでなく、デメリットもあります。また、卵子凍結をする方の多くが高齢出産を検討しており、高齢出産もデメリットが多々あります。卵子は年齢とともに質が低下していきます。キャリアを築きたいからまだ子供はいらない、パートナーがいないから妊娠の予定はないという方は、卵子凍結や高齢出産のリスクを鑑みたうえで、卵子凍結を検討されてみてはいかがでしょうか。


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