未来の家族計画を自由に選択できる技術、「卵子凍結」。しかし、これを現実の選択肢とするには、まだ多くの課題が存在します。今回、私たち株式会社THREEは、自社調査として全国の20代〜30代の女性550人を対象に、卵子凍結に対する意識調査を実施しました。この貴重な調査データから浮かび上がったのは、女性たちが抱える経済的負担や医療への不安、そして情報不足という現実です。この記事では、希少な自社調査から見えてきた卵子凍結の現状と、その未来の可能性について深く探ります。
卵子凍結とは
卵子凍結とは、若いうちに卵子を凍結保存し、将来の妊娠に備える技術です。年齢と共に卵子が老化し、妊娠しにくくなると言われていますが、若い時に凍結保存しておくことで将来の妊娠の可能性を高めることができます。
この技術は、がん治療などで不妊症となった女性の対処法の一つとしても利用されています。
調査目的と方法
今回の調査は、女性の卵子凍結に対する意識を把握することを目的に、2023年2月の1か月間にわたり実施しました。対象は20代〜30代の女性550人で、インターネットによる無記名アンケート形式で行いました。
卵子凍結の意識調査
Q1:卵子凍結を知っていますか? (回答数: 550 )
85%の女性が「卵子凍結」という言葉を聞いたことがあると答えましたが、その実際の効果について知っている人は約30%にとどまりました。
Q2:卵子凍結を行ったことがありますか?(回答数:550)
卵子凍結を実際に行ったことがある女性は2%で、大多数の98%はまだ経験がないことがわかりました。
Q3:何のために卵子凍結を行いましたか?(回答数:11)
経験者のうち、36%がキャリアを優先するため、18%がパートナーがいないためと答えました。その他、不妊治療の一環として卵子凍結を行った人もいました。
Q4:卵子凍結に興味がありますか?(回答数: 539 )
7%が「興味あり」、22%が「どちらかといえば興味あり」と答えた一方、31%が「どちらかといえば興味なし」、40%が「興味なし」と回答し、過半数が卵子凍結への関心を示していないことがわかりました。
Q5:卵子凍結を行うまでにハードルに感じる点はどのような点ですか?(回答数: 157 )
価格の高さや痛みの不安、効果をよく知らないこと、近くにクリニックがないこと、信頼できる先生がいないことなどが挙げられました。
意識調査の結果からわかったハードル
全国の20代〜30代の女性の中で、卵子凍結に関する知識や興味がまだ限られていることが明らかになりました。実際に卵子凍結を経験した人はわずか2%で、多くの女性が高いハードルを感じています。主なハードルは以下の5つです。
- お金がかかること
- 痛みへの不安
- 卵子凍結の効果に関する知識不足
- クリニックの情報不足
- 社会全体での理解不足
これらの問題が解決されれば、卵子凍結に対するハードルは低くなるでしょう。
アンケート結果からの今後の展望
上記のハードルを解消するためには、卵子凍結に関する基礎的な知識の普及と理解の深化が重要です。
1. お金がかかること
卵子凍結には高額な費用がかかりますが、一部のケースでは国からの補助金が受けられる場合もあります。
2023年から、東京都は東京都在住の女性に対して最大30万円の助成を開始しました。こうしたお金の面でのサポートの情報も知る必要があります。
補助金についてはこちら 卵子凍結記事 東京都助成金 | 株式会社THREE
2. 痛みへの不安
卵子凍結を行うためには、まず「排卵誘発」と呼ばれる卵子を育てるための注射を行い、その後「採卵」という卵子を取り出す手術が必要です。この手術中に痛みを感じることもありますが、多くのクリニックでは、眠っている間に採卵が完了する「静脈麻酔」を使用しています。そのため、ほとんどの場合、痛みを感じることはありません。3)
針が細く痛くない排卵誘発注射を使用しているクリニックや独自の細い採卵針を使用しているクリニックもあり、「痛みに配慮した」クリニックを丁寧に選ぶことで対処可能です。
3. 卵子凍結の効果に関する知識が不足していること
卵子凍結のメリットとデメリットについて正確な情報を提供し、女性が自分のライフプランに合わせて最適な選択をできるようにする必要があります。
4. クリニックの情報が不足していること
信頼できる専門医やクリニックの情報を積極的に広め、アクセスの向上を図ることが求められます。
5. 社会全体で卵子凍結の理解が広まっていないこと
社会全体での理解を深めるため、不妊治療や卵子凍結についての関心を高める啓発活動が重要です。
まとめ
今回の調査で、卵子凍結に対する理解不足と高いハードルが浮き彫りになりました。私たち株式会社THREEは、インターネットやイベントを通じて情報提供や啓発活動を行い、女性たちが安心して卵子凍結を検討できるようサポートしていきます。私たちの活動が、女性たちの選択肢を広げ、自分らしい生き方を追求する一助となることを願っています。
1)厚生労働省:令和3年度「出生に関する統計」の概況、httpss://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo07/dl/gaikyou.pdf、2023/5/2閲覧
2)厚生労働省:令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況、https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/index.html
3)独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:重篤副作用疾患別対応マニュアル卵巣過剰刺激症候群(OHSS)https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000842887.pdf
4)毎日新聞:大阪の44歳健康女性 初確認httpss://mainichi.jp/articles/20160202/k00/00m/040/126000c