卵子凍結に関する福利厚生まとめ

「仕事と家庭を両立させたいけど、妊娠のタイミングが難しい…」
「卵子凍結の費用ってどれくらいかかるの?」
そう思う女性も多いのではないでしょうか。

卵子凍結は女性が自分の将来を安心して考えるために欠かせない選択肢です。

今記事では、卵子凍結の大きな課題である費用面と、企業から受けられる福利厚生や自治体からの補助について詳しく解説していきたいと思います。
女性が仕事と家庭を両立しながら、妊娠の可能性を確保するために知っておきたい重要な情報をお届けします。

卵子凍結 福利厚生
もくじ

卵子凍結に係る費用

卵子凍結にかかる一般的な費用は、おおよそ40万円から60万円程度です。

この費用は、初診から採卵までのプロセスで発生した費用の合計額で、採卵後も卵子凍結を続けるためのランニングコストがかかります。

一般的な卵子凍結に関わる費用は、下記のように「採卵前」「採卵時」「採卵後」という3つの段階で発生します。

卵子凍結の費用

<卵子凍結に係る費用>

 内容金額
採卵前診察料、検査費用、排卵誘発剤など5~15万円
採卵時麻酔、採卵手術、凍結処理など15~40万円
採卵後保管費用(ランニングコスト)など年間5~8万円


卵子凍結って高い?かかる費用について | 株式会社 THREE (three-313.com)

卵子凍結に係る費用は上記以外にも医療機関によって個別の費用が発生することがあります。

さらに、凍結した卵子を使用する際には、体外受精費用(30万円程度)がかかります。

卵子凍結に係る費用は高額となっており、日本で卵子凍結が広まっていない原因の一つとなっています。

医学的適応と社会的適応

卵子凍結には社会的適応と医学的適応の2種類が存在します。

医学的適応とは、卵巣がんや婦人科疾患などにより将来的に妊娠機能を失う恐れのある患者が、将来に向けて卵子を凍結保存することです
医学的適応の場合、各自治体から補助金がもらえることが多いです。

一方、社会的適応とは、女性が自身のキャリアプランやライフプランと向き合う上で、卵子凍結を選択する場合になります
社会的適応に対する補助制度はまだ各自治体でも整備されていないところが多く、自費で先ほど紹介した高額な費用を負担する必要があります。

そのため、企業による福利厚生や補助制度などが望まれているのです。

企業で受けられる補助・福利厚生

卵子凍結は、働く女性の機会を尊重する選択肢の一つとして考えられており、補助金などの福利厚生を導入している企業が増えてきています

特にアメリカの企業では積極的に取り入れられており、2014年にFacebookで導入されて以来、多くの企業が卵子凍結のサポートを行っています。
今回は国内と海外で、それぞれ卵子凍結に対する補助や福利厚生を導入している企業をご紹介します。

日本の企業で導入されている福利厚生

日本では、株式会社サニーサイドアップグループが2015年7月に、国内の民間企業で初めて「卵子凍結補助」を福利厚生に導入しました。
その後も「株式会社メルカリ」、「ジャパネットグループ」など導入する企業が増えつつあります。
現在、日本の企業で卵子凍結補助を導入している企業をいくつかまとめてみました。
(2023年8月作成)
いずれも社会的適応、医学的適応を問うことなく補助制度を使うことができます。

<日本の卵子凍結補助を行っている企業>

企業内容
ジャパネットホールディングス検査から採卵にかかる諸費用最大40万円
サイバーエージェント各種検査、卵巣刺激、採卵、凍結保存などの費用について、最大40万円
セガサミーホールディングス各種検査・採卵・卵子凍結等にかかる費用の支給
メリカリ卵巣刺激、採卵、麻酔、凍結保存、凍結卵子融解、凍結保存延長、検査など卵子凍結に関する費用
最大200万円/子
ゲオネットワークス卵子凍結、人工授精、体外受精、顕微授精、胚移植、胚培養、胚凍結保存、採卵 、男性不妊治療、精子凍結などの諸費用
最大40万円まで  
サニーサイドアップグループ卵子凍結から保存までの費用補助、AMH検査と精液検査の費用補助
湘南美容外科クリニックグループ同グループ内の六本木レディースクリニックで、社員特別料金で卵子凍結を実施
出典:各社公表資料

一般的な卵子凍結補助の内容としては、検査(AMH検査など)から、排卵誘発剤などの薬剤を含む卵子凍結までの実際にかかった費用を上限額まで支給する、といった形がほとんどです。

上限額や細かい支給対象治療に関しては、企業ごとに差があり、今後も導入が進むにつれて検討・改善されていくと思われます。

また、東京都では2023年度より、卵子凍結に係る特別休暇等の福利厚生の仕組みを導入した企業に対し、20万円の助成金を出すことを発表
さらに、卵子凍結に関する正しい知識や情報提供のためのセミナーを実施する場合にも、企業を支援していく、と発表しています。

今後も卵子凍結の関する福利厚生を、導入する企業は増加していく見込みです。

参考:働く女性のライフ・キャリアプランを応援,2023-4-20|東京都

株式会社メリカリ

株式会社メルカリでは、国内企業では高額の、上限額200万円まで卵子凍結に関わる費用を負担しています。
また、他の企業では女性社員または、男性社員のパートナー1人に対して上限額が設定されているのに比べて、メルカリでは子供1人に対しての補助上限額設定となっています。

株式会社メルカリでは、その他にも結婚休暇・出産休暇に対して、同棲パートナーや事実婚も対象内とするなど、柔軟な福利厚生システムにより多様な人材を積極的に受け入れています。

参考:メルカリ、多様な人材が活躍できる環境を目指し、 卵子凍結・0歳児保育支援制度を新たに試験導入,2021-4-28,プレスリリース,mercari

株式会社ジャパネットホールディングス

株式会社ジャパネットホールディングスでは、卵子凍結をする際の検査から採卵にかかる諸費用を最大40万円まで補助しています。

他にも、出生祝い金最大100万円や託児所の設置など子供を持つ世代にも働きやすい環境作りを行っています。

株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントもグレイスグループとの提携企業であり、卵子凍結に係る費用を最大40万円まで負担してくれます。

また、株式会社サイバーエージェントでは、女性活躍促進制度「macalonパッケージ」を導入しており、卵子凍結補助以外にも、妊活休暇やキッズ在宅などの様々な福利厚生があります。

参考:福利厚生 | 株式会社サイバーエージェント

海外の企業で導入されている福利厚生

一方、海外の企業における卵子凍結補助は、アメリカで最も導入が進んでいます

卵子凍結に関する海外での福利厚生について


アメリカでは医療が民間企業によって提供されており、一般的に高額です。
そのため、企業や雇用主が従業員のための健康保険を保証したり、サポートすることが多く、その中の一つとして卵子凍結補助をはじめとする不妊治療も含まれているのです。

女性の社会進出を支援しているアメリカの企業「Mercer」が行った調査によると、アメリカでは500人以上の企業の11%、20,000人以上の企業の19%が卵子凍結の福利厚生を提供していることがわかりました。
下記はアメリカの有名企業における卵子凍結に関する福利厚生をまとめたものです。

<アメリカの卵子凍結補助を行っている企業例>

企業内容
Apple2万ドルを上限とする卵子凍結費用補助
Facebook2万ドルを上限とする卵子凍結費用補助
intel4万ドルを上限として、卵子凍結を含む体外受精費用補助
Spotify1万ドルを上限とする卵子凍結費用補助
Starbucs2万ドルを上限として不妊治療サービスに対する費用補助、処方薬に対して追加で1万ドル上限の費用補助
出典:各社公表資料

しかし、多くの企業で卵子凍結補助が行われているアメリカですが、アメリカの一般的な卵子凍結費用は日本よりもさらに高額で、1サイクルで数千ドル~1万ドル程度かかると言われています。
そのため、補助の上限額では1、2回分しか賄われず、不妊治療としての補助費用と考えると不十分に感じられる面もあり、課題となっています。

また、アメリカの企業の補助制度では、対象が不妊症と診断を受けた場合のみ(日本で言う医学的適応のみ)であったり、補助制度を使用するのにハードルがある場合もあります。

自治体からの補助

国内では卵子凍結に対する国や各自治体からの補助も望めます。

東京都では、社会的適応の卵子凍結に対して、2023年度から1人当たり最大30万円の補助金を支給することを発表しました。
これは、「社会的適応」に対する初めての自治体からの補助制度となりました。
しかし、2023年度は上限が200人となっており、具体的な対象者や期間などはまだ発表されていませんのでご注意ください。(2023年8月現在)

現在では、社会的卵子凍結に対する自治体からの補助制度は東京都のみですが、この東京都の発表を皮切りに、各自治体でも卵子凍結に関する補助制度が導入される可能性は大いにあると言えるでしょう。

また、「医学的適応」に対しては各自治体で補助制度があります。
43歳未満の女性が対象であり、卵子凍結のみならず体外受精などの生殖補助医療に係る費用に対して補助を受けることができます。

詳しくはこちら
卵子凍結記事 補助金 | 株式会社THREE

まとめ

卵子凍結に対する福利厚生・補助制度は、アメリカの企業で最も導入が進んでいます。
日本でもいち早く、卵子凍結に対する補助制度を導入している企業が現れていますが、まだまだ数が少ないのが現状です。

特に社会的適応に対する補助制度は、国や自治体でも十分に整っていないため、企業の協力や積極的な動きに期待したいですね。

卵子凍結が日本で普及していない原因として、大きなハードルの一つとなっているのが、高額な費用です。
近年の少子高齢化、晩婚化などの対策として卵子凍結の認知や普及が進むためには、自治体や企業の補助が必要不可欠となります。


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