「心と体を健康に」「痛みの少ない治療」「最短での妊娠を」をという3点にこだわって、日々不妊治療を行っていらっしゃる、田中レディスクリニック渋谷の田中つるぎ先生にインタビューを行いました。
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田中レディスクリニック渋谷
田中つるぎ先生
経歴
2016年3月 群馬大学医学部医学科 卒業
2016年4月 関東労災病院
2019年1月 東京大学医学部附属病院
2019年10月 山梨大学医学部附属病院
2020年4月 国立国際医療研究センター病院
2021年4月 東京大学大学院医学系研究科博士課程 入学
2021年4月 松本レディースクリニック
2023年4月 フェニックスアートクリニック
所属学会・資格
日本産婦人科学会 産婦人科専門医
日本産科婦人科遺伝学会認定
日本生殖医学会
日本女性医学会
日本抗加齢医学会
日本人類遺伝学会
卵子凍結について
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甲斐(インタビュアー、株式会社THREE):卵子凍結についてお聞かせください。
田中つるぎ先生:
卵子凍結の患者さんは、最近増えてきた印象です。
会社の補助として費用負担があったり、休暇がもらえるとか、不妊治療に対して、総額でいくらまでの補助っていうような形で出してくれる制度があり、その補助を卵子凍結にまるっと使ったりする方もいらっしゃいました。
甲斐:
それは新しいですね。
田中つるぎ先生:
はい、その方は30万円くらいを全部補助できるっていうことだったので、公的な補助とかではなく、会社独自の補助があったようです。
会社がお金まで出すっていうのは、あまり多くはないとは思いますが。
甲斐:
卵子凍結の患者さんって何歳ぐらいの方が多かったですか。
田中つるぎ先生:
様々だと思いますが、30代がやはり多いかと思います。補助金の上限の年齢(39歳)を超えての卵子凍結の方もいらっしゃるし、20、30、40代と。卵子凍結に関しては、どの年代の方もいらっしゃるっていう印象でした。
甲斐:
私も28歳の時に卵子凍結やっています。AMHが2.0くらいで、私の年齢にしては、ちょっと低めかなっていうので、6個しか保存できてないのですが。
田中つるぎ先生:
そうですね、やっぱりどうしても医療で止められないのが年齢の問題。
今の技術で言うと、卵子凍結の卵子は、融解した後に受精をさせて、胚を発育させるっていうのが、どうしても受精卵に比べると成績が落ちちゃうので、個数で勝負っていうところはあるんですけどね。
凍結保存している間に技術が発達してくれば、より卵子凍結の利用も進んでくるのかなって思います。
今は、将来に向けて卵子凍結をしている段階の患者さんと接することが多くて、それをさらに妊娠で使用するってなって凍結した卵子を使う場面は、私の診ている患者さんの中では多くなかったです。
なので、そこをぜひ、取って、保管して、将来的に、妊娠につなげるってところまで、長期的にサポートできればいいかなと思っています。
卵子凍結と福利厚生
甲斐:
田中レディスクリニック渋谷でも、卵子凍結開始されるんですね。
田中つるぎ先生:
そうですね、ちょうど東京都の助成も始まったところなので。
どうしても今、働きながらってなると、結婚や出産がだんだん年代によって遅れてっているっていう印象はあって、卵子凍結の知識は知っているけど、なんとなく自分に当てはめられないとか、忙しくてそれどころじゃないとか、色々だと思うんですけど、会社の補助や東京都が出している補助とかが後押しになって、さらに情報が広まれば、卵子凍結はすごく重要な選択肢になるのかなと思っています。
年齢は、本当に、どうしようもなくって、その方々それぞれで、AMHや卵巣の機能だったりとかっていうのは様々あるんですけど、年齢の影響っていうのはやっぱり大きなものなんですよね。
甲斐:
確かにそうですね。私も個人的には、 卵子凍結の自治体からの助成を全国でやってほしいなって思います。
田中つるぎ先生:
そうですよね、確かに少子化って言って、保険診療が不妊治療で始まったのですが、どうしても、卵子凍結自体は病気ではないので、保険とか医療費としてサポートするっていうのは、難しいのかもしれないですよね。
ただ、女性が適切な時期に妊娠や出産をするっていうのは、男性が妊娠とか産休、育休を経験しない分、男女平等とはいえ女性がそこをどうしてもやらなきゃいけない部分があって。
働き手として重要な女性たちが、時間や身体を使わなきゃいけないのは、会社がサポートして当然なことだと思うんですよね。なので、福利厚生として、保険不妊治療だけじゃなくて、卵子凍結に関しても、もっとサポートが広がったらいいかなって思ってます。
サポートを開始している企業は、まだまだ、多くはなかったです。
会社で検査とかまでは補助はしているけど、なかなか何十万とかって卵子凍結の費用をバンって出してくれるところはあんまりない。
お金がかかるっていうのも、どうしても卵子凍結1つの問題で、さらに、凍結後に、年々維持費がかかっちゃうっていうのもあって、じゃあ何年後に、 初期の採卵費用+保管料でいくらになるかみたいなところは、しっかりと比べられる、何か見やすいものがあればいいかなって思います。
田中レディスクリニックの強み
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田中つるぎ先生:
田中レディスクリニック渋谷は、自然周期・低刺激っていうのが強みではあるんですけど、そうするとどうしても、1回に取れる数っていうのが、少なくなってくるっていうところはあると思います。
それぞれのいいところはあると思うんですけど、卵子凍結に関しては、もしかしたら、若い方で、合併症がなくて、卵巣機能もいい方に関しては、1回でたくさん卵がとれる高刺激でやるっていうのも、いいのかもしれないって思います。
卵子凍結って、どうしても普通の不妊治療よりも卵の数が必要になってきちゃうので、そういう部分では、年齢とかも加味してですけれども、自然周期とか低刺激にこだわらずに、少しお薬を使う方法も検討しています。
患者さんがどこに注目してクリニックを選ぶのかっていう点でいえば、刺激方法とかも見ていただくといいのかなっていう風に思います。
甲斐:
高刺激の方が卵子がたくさん取れるから、卵子凍結には向いてるのかなみたいなイメージではいたんですけど、さっき院長先生に、低刺激のメリットを教えていただき、高刺激でないやり方もありなのかもしれないと思いました。
田中つるぎ先生:
どうしてもホルモン剤って外から薬剤を入れているので、低刺激・自然周期っていうのは、自分のホルモンの分泌を促して、より自然に近い状態での卵子が取れるっていうことなんですね。
一方で、卵子凍結に関して言うと、採卵してすぐに目に見えてわかるのって数だけじゃないですか。そうすると、患者様の満足度的にやっぱり数が取れた方がわかりやすいっていうのはあると思います。
それが将来的に、不妊治療で良い胚なのかどうかで妊娠率に反映してくるんですけど、この保管期間の間、この個数で大丈夫なのかっていう気持ちをずっと引きずりながら、将来、妊娠したい時に、良い胚だよねって分かる。それが数年後になっちゃうので、どうしても目に見える結果が数ってなると、高刺激の方がいいんじゃないかっていう風な考え方もあるとは思うんですね。
基本的には、低刺激でより質のいい卵で、それによって最短で妊娠をするっていうことを目指しています。
ただ、卵子凍結ってなると、少し意味合いが変わってきちゃう部分もあるんですけど、その基本に則って、副作用が少ない治療をやっていきたいかなって思っています。
甲斐:
今先生のお話を聞いて、ようやく納得しました。
私も卵子凍結した時は、あんまり内容が理解できないまま、そのクリニックの治療法でやったので、自分で考えて選ぶっていうところがまだなかったです。
田中つるぎ先生:
なかなか難しいですよね。どうしてもクリニックが1つ1つ独立しているので、お互いの自分のところの強みなどは強調されるけど、じゃあ正直なところ、他のところと比べると何がっていうのは、患者さんがそれぞれ調べて比べるっていうのはかなり難しいことだと思うし、それはもう、多分医者も1個の施設だけでやっていると、そこのやり方がいいっていうことになると思います。
私もいろんなクリニックに行かせてもらって、それぞれのところを見てきたつもりではいるので、どうしても患者様が若ければ若いほど、数が取れた方がいいんじゃないかっていう風に思う方が多いと思います。
少し年齢が高くて不妊治療やっている方に関しては、例えば高刺激でうまくいかなかった場合に、じゃ、低刺激ってどうなのかなっていう風に、やっとそこで考え始める方もいるし。
どっちかというと少し年齢が高い方のほうが、その後、高刺激との差が出てくるのかもしれないです。
世界に目を向けた時には、自然周期・低刺激でやってる国って、そんなに多くないんです。それは多分、他の国のほうが国からの補助が進んでいて、不妊治療が一般的になっているので、日本の不妊治療される方の年齢が他の国に比べると高いっていうのがあって、そこに低刺激などがマッチしているのだと思います。世界のドクターから見ると、ちょっと少し風変わりな治療なのかもしれないです。
甲斐
低刺激に向いてるのはこういう人みたいものってありますか。
田中つるぎ先生:
1つはやっぱり、注射を打たず、過剰に卵巣を刺激しないっていうことで日常生活が過ごしやすくなるのかなと思います。
で、採卵に関しては、低刺激で良い卵を取って、なるべく1回、2回で妊娠をするっていうのを目指してるんですけど、例えばそれがうまくいかなかった時に、採卵を繰り返さなきゃいけないっていうのも、1つ苦痛ではある。
そうすると、高刺激で、例えば、たくさん卵が取れて、採卵は少ない数でできて、あとは移植をするだけという考えもあるけど、それはやっぱりどういう卵を取れるかっていうのは人それぞれではあるので、年齢が高齢の方が低刺激に向いているというのはあるかもしれません。
あとは合併症が気になる方や、AMHの値が低めの方が低刺激に向いているといえると思います。
AMHについて
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田中つるぎ先生:
年齢っていう部分が、どうしても今の進歩した医療の中でも問題になっていて、やっぱり、不妊治療の成績には、AMHの値が最大限関わってきます。
AMHに関しては、逆向きにあげるっていうことは難しいので、ライフプランを考えた時に、その後々の選択肢を増やすっていう意味で、卵子凍結しておくっていうのは、選択肢としては今しかできないことだと思います。
卵子凍結は、お金がかかる部分もあるんですけれども、やっぱり、それによって、より自分の人生の設計がフレキシブルにできるところがいい点なので、思いたったところで、ぜひお話を聞きに来ていただければいいのかなと思います。
留意点に関しては、どうしても治療成績の部分で、胚(受精卵)凍結に対して劣る部分があるので、そこを過信しすぎないっていうこと。
あと、母体へのリスクなどを考えると妊娠する年齢に関しても、卵子凍結したから何歳でもいいかっていうとそうではない。凍結した卵子をいつ活用するかっていうことも含めて念頭に置いといていただけると良いかと思います。
甲斐:
ありがとうございます。卵子凍結は100%妊娠を担保できる方法じゃないっていうことですよね。
田中つるぎ先生:
クリニック側はやってほしいので、いいこと言ったりもするんですけど、卵子凍結しただけでは全てが解決するってわけではないし、妊娠してからも大変です。
まず卵子があります、そこはクリアだったとして、その後の妊娠、出産がゴールっていうことを考えた時には、卵子凍結は本当に始まりの始まりでしかないので。
その後の部分をどう健康に完結させるかを、できれば2人3脚で全部サポートしながら見ていくということが1番理想かなとは思ってます。卵子凍結した後、その母体になる方の身体に何が起こるかわからないし、そこで将来的な妊娠に向けた、そういう体作りみたいなのを持続的にやっていっていただけるといいのかなと思います。
卵子凍結のクリニック選びについて
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甲斐:
確かに、卵子凍結のクリニック選びって難しいと思うんですけど。 今おっしゃった凍結するだけじゃなくて、そこで治療までしてほしいっていうことを考えると、やっぱり不妊治療に強いみたいなクリニックはいいですね。
田中つるぎ先生:
もちろん、将来の不妊治療時にどこにでも凍結卵子を輸送できるんですけど、じゃあその卵子がどういう方法で取られたか、どういう保存方法で凍結してあるかっていうのは、同じ施設の同じ培養士さんが分かってる方が、おそらく治療の成績は上がってくるんじゃないかなっていう風には思います。
なので、そこはトータルで治療までできるっていうところが理想なのかなっていうところと、あとは、ここから先、数年間保存するっていう間にも、通い続けられるクリニックで途切れない、診療やケアを持続できるのが我々としては理想かなと思っています。
産婦人科のいいところは、やっぱり今は生殖医療を専門でやってるんですけど、すべての女性、思春期を迎えた中高生からおばあちゃんまで面倒見れる科ではあるので。そういう意味では、我々産婦人科っていうのは基本的に女性を、その生涯をサポートしてやっている部分があるので、長いお付き合いができるといいなと思ってます。
うちは今、不妊治療を中心にやってるんですけど、傍から、漢方や、通常の婦人科もやっていて、それは 不妊治療に踏み切る前に、女性の体をトータルで見たい、その人がこう妊娠したいってなった時に、スムーズにサポートを継続しながらやっていきたいというコンセプトでやってます。
甲斐:
女性の悩みを総合的に解決できる万全の体制で治療にあたられているのですね。
とっても貴重なお話をありがとうございました。
▼ご協力院
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田中レディスクリニック渋谷